素晴らしい技術があって、素敵な建物がたてられるのに、何故その土地の環境に、この場所の未来に目を向けられないのだろう。なんか勿体無くて、寂しくて、残念になる。 この場所を理解し、この庭に向き合うため、植物の成長を見守りながら会話して、草取りしながら土の素性を観察して、この土地の未来を想像する。 建物を建てる時に盛り土として持ち込まれた素性の知れない土が、元の豊かな緑を覆い隠す。 そこに成長した緑の草たちは、もともとこの蓼科の林の中に群生した ヤマドリゼンマイ、クマザサ、ミヤマニガイチゴたちの中はいない、もっと低地の草薮に生える外来種の植物たち。 それが運び込まれてしまった土の中で繁殖し、元々の林の環境を脅かそうとしている。 ここから、この草たちが広がって、この林の生態系を脅かすことになるって何故考えないのか?豊かな自然を少なからず破壊して家を建てさせてもらうなら、最低限、破壊された自然が、林が少しでも元の環境に回復できるような配慮をしないのだろう?全ての建物を建てる人たちがそうではないのだけれど、こういう建築士さんや工務店がいるって思うとなんとも悲しくなる。 脅かされた豊かな自然。 少しでも救うために、時間も手間もお金もかかるけど、今ならまだ間に合うって思う。だから、酷暑もなんのそので頑張ってみようって思う。 草の種類、生え方、特徴を見極め、まずは根が浅くて抜きやすい草を抜いていく。 もちろん、この林の自然の回復に必要な種は見極めて残していく。 重機でガバッと掘って抜けば簡単なように思うけれども、それは土を掻き回して草が見えなくなるだけで少ししたらまたほぼ元どおりになる。草刈りも同じ、一時しのぎでなんの解決にもならない。やっぱり、一つ一つ見極めながら、草の性格に合わせて抜き方を考えて抜いていく。効率よりも大事なのは効果。 まずは根が浅くて抜きやすい、ヒメジョオン、メヒシバ、エノコログサなんかをどんどん抜く。赤白のクローバーも、広く広がっていなければ元をしっかり持ってグッと抜けば抜ける。赤いクローバー(アカツメクサ)の方が根が深いので、切れそうなら少し掘って抜くといい。蔓ではびこるヤエムグラは、深く根を張る元の部分を残して、長く絡んだ蔓を丸めるように集めて切る。蔓を集めるだけで草取りはグッとやりやすくなる。 そう、草取りには段取りと草の性格に合わせた抜き方がある。何でもかんでも抜けばいいものではない。その草を知って、理解する。たかが草取りじゃないんだよ、草取りは立派な科学なんです。 浅い草が抜けたら直根を深く伸ばしたタケニグサ、ヤエムグラ、エゾノギシギシなどの草や、 (写真はタケニグサ) 土中深くにある根茎から伸びてきている、コーンフリーや イタドリなどの草を抜く。 こうやって周りが綺麗になったらスコップで深く土をほって、しっかり根を追いかけて、切らないように慎重に抜く。 例えばコーンフリー。 小さく細切れになった大小の根茎からこうやって生えている。 地上部だけを引っ張って抜いても、土の中の根茎が残り、また来年ここから復活してしまう。 また、例えば、イタドリ。 自生している場所では根茎が1m以上もの深さにいて、そこからか細い茎を伸ばし地上部に出て葉を広げ花を咲かせる。 だから本来抜くのは大変で、正直諦めたくなるし、真剣に戦いたくもない。 ただ、今回は元の林の地面にある程度の厚さで盛られた土に中にいるので、頑張って追いかければ広がりきる前に全て抜くことができる。 このイタドリも、地下30-40㎝のところにあった長い根茎からたくさんの芽を伸ばしていた。 右方向に伸びた茎は地中を縫うようにか細い茎を伸ばし白い新芽を地上部に向かって伸ばしている、こうやって広く、遠くへ勢力を拡大して、群生していく。地上部の葉や茎を引っ張っても、根茎のところで切れるだけで栄養を蓄えた一番の原因は取り出せない。掘って根茎を見つけても、折れたり切れたりして数センチの根茎が残っても、そこからしっかり芽を伸ばし、葉を広げ根茎を肥やし、花を咲かせて種を作り勢力を広げてしまう。だから、深く掘って、根茎を切らないように最後まで慎重に追いかけて掘り出す。いくつかのイタドリを慎重に掘ってみて、得た確信。大変だけど、今ならまだ間に合う。だから、頑張る。 昨年、多分タネをこぼしてしまったこの場所では、小さなタケニクサが発芽してタケニグサ畑になっている。 小さいなこのぐらいのタケニグサなら、山菜堀や移植ゴテなんかで土をほぐして抜くことができる。一本一本丁寧に向き合って、深く根を張ったコーンフリーとイタドリだけが残る。 最後はスコップで格闘し、ほら、この通りだ。 こうやって丁寧に、草と、土と、庭と抜き合えば、失われた森の小さな緑を見つけることができる。 蔓延った野蛮な緑を取り除くとスギゴケで覆われた元の林の地面が出てくる。 そこには、ほらこんなに可愛いフデリンドウが居るんだよ。 こっちには 小さなイカリソウとアカショウマが残っていた。 運び込まれてしまったならず者の緑に覆われ、かろうじて命を繋いでいた小さな緑たち。 この小さな緑を救うことで、元の林の緑が復活し、豊かな環境が救われる。 だから僕たちは、失われてしまう小さな緑を救うため、今日も自然の回復力を信じて庭と向き合い、草を抜く。 どんなに辛くても、酷暑でも、この庭の未来を信じて、林の緑を取り戻せ! 小さな緑たち。頑張れ!
by eilakuyagarden
| 2018-08-05 21:49
| 里山林の庭
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