自然が守る自然な庭
「斜面の庭造り」のお話の連載6回目。

正面の「棚庭造り」の話の前に
2010年5月12日の「斜面の道づくり」で少しだけ触れた、枕木の歩道造りの際に垂直に切り崩した崩れ易い法面の再生についてお話しします。

まず、復習。
枕木の道づくりの際に、重機がガンガン切り崩していった斜面の様子がこちら。

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軽石の地層があらわになった法面。
高い所では1mくらいの高さがあります。
でも、法面の手前に階段の土留めのようなごつい土留めを造ったのでは工費も工期もかさむし、なにより折角の自然の風情が台無しになります。


だから、自然な庭は、この場の自然に守ってもらいましょう。


まず、そのために、山の斜面から素材を切り取ります。

この斜面を切り崩す前。職人さん達に「切り崩す斜面に野草がしっかり根を張っている部分があったら、作業する前に、表土の土が落ちないように気おつけて、表土をできるだけ大きな四角いマット状(約30〜40㌢角)に切り取って、工事の邪魔にならない場所に除けておいてください」とお願いしました。

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そして僕は、工事しない山の中から、なにやら良さげな野草(写真のマットはイチヤクソウが群生しているマット)の入っていそうな場所を探して、その部分をこうしてマット状に切り取ります。

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こんなマットを沢山集めます。
準備はこれだけ。


次ぎは法面をちょっと手直し。

軽石の層はスコップで簡単に崩れますが、野草がしっかりと根を張った表土は簡単には崩れません。だから、表土の下にスコップを入れて軽石の層だけを崩し、垂直に切り立った法面のこう配を緩やかにしていきます。

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そうすると表土がシート上に浮きますから、適当に切れ目を入れてスコップで上からたたき、こう配のついた法面にしっかり押し付けます。

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こうして作業した法面がこちら。

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最初に比べこう配がついて緩やかになりました。
でも、このままだと軽石の層が丸見えで、ちょっとしたショックで崩れます。

そこで登場するのが、最初に準備したこの場所の自然を切り取った 「野草マット」。

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これを少しだけ湿らせて(あまり濡らすと土が流れてしまうのでご注意を)、軽石があらわになっている斜面に貼っていきます。軽石の間に土が ムニュって入り込むように全体をよぉ〜く押さえつけたら、最後に防草シート用のストッパー金具で固定します。壁に画鋲でポスターを貼る要領です。簡単でしょ!

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これはメギが生えたマットを法面に貼った様子。

この要領で、マットとマットの間に隙間ができないようにどんどん貼っていきます。
上から下まで一列できたら横に移動というのがやり易かったです。

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中には貼っている際に崩れてしまうマットもありましたが、崩れたものはマットとマットの間の隙間を埋めるのに使いましょう。
野草も一緒に隙間に埋めて上げてください。

この作業は丁寧にやるよりも、手早くやることが大事。土が乾かないうちにどんどん貼付けないと、ボロボロ崩れてきて折角の「野草マット」が台無しになります。


では、作業の移り変わりを見てください。

【作業前】垂直に切り崩した法面を手直し中。
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【作業後】「野草マット」を貼付けた法面。
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崩れ易かった軽石の法面が、もともとこの場所にあった山の表土と、そこに暮らす野草達によって保護されました。


そして、その一ヶ月後(6月後半)の様子。


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「野草マット」からエンレイソウ、ギボウシ、シダ類などのここに自生していた植物達が顔を出し、法面はこの山の緑に覆われてしまいました。

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たった一月で、枕木の歩道も緑に埋もれ、
この場所の自然にすっかり溶け込んでいます。

僕の考える自然な庭造りって、なくした自然を庭という形で取り戻しながら、人と自然が触れ合い易い姿に変えていくこと。
そうすれば、自然な庭はこの場の自然がきっと守ってくれる。
そして、人はこの場の自然を守っていける。

自然が庭と人を優しく包み込んでくれる自然な庭造り。
この場の自然による法面の再生が、僕にそれを確信させてくれました。
by eilakuyagarden | 2011-02-21 20:09 | 里山林の庭 | Comments(2)
Commented by veronica-t at 2011-02-22 01:58
先日注文していた本が届きました。
手にしてみるとカラーのページが多くて、見るだけでもとても楽しくなりました。
一通り見て、今度は解説を読ませていただきながら、じっくり拝見しましたが、とても分かりやすく書かれていて、良いな〜信州の人は。。と思いました(笑)
以前、造園部門の事務をしたとき、木々や花、石も泥までも、どこからか購入してて、庭は、高額な経費と維持費がかかるものだと思ってきました。
でも、そうなんですよね、特別な木々や花を持ってくるのではなく、もともとあるものが、この環境に適していて、まわりの風景や暮らしに馴染み、互いに無理がないことがよく分かりました。
人は自然ができないことを、少しだけ手助けしてやれば、良いんですね。
まずは、自分のまわりを一年を通して、よく見て知ることから始めます。
この「野草マット」のやり方も参考になります。ありがとうございます。。
Commented by eilakuyagarden at 2011-02-22 16:02
veronica-tさま

住まいNET信州vol.16読んでいただいたのですね。ありがとうございます。特集記事の庭造り講座の内容は、どこの地域でも当てはまることです。信州でも島根でも植物の違いはあっても、植物との関わり方は変わりません。まあ、一考察でもありますから、参考にしながら出雲地方の植物にあった育て方を見つけてみてください。

寺社仏閣にある庭園なんかも自然風な庭と言えるし、自然な庭の定義はいろいろあると思います。何もない平坦な場所に造るならいろんな資材を導入することも必要ですが、もし、利用できる自然があり、それが庭の一角をなすものならば、ぜひ利用して欲しいです。人が手を付けられない場所はもはや庭ではないと思いますから、やはり人と自然が互いに助け合い、触れ合い、楽しみながら一緒に育っていける場所にしないといけません。それが自然な庭だと僕は思っています。
最後に「野草マット」ですが、近くに採取できる場所があった場合、一箇所からあまり沢山取らないでください。せいぜい一箇所から2枚ぐらい。採取した場所が半年ぐらいでまた元の緑に再生できるようにしましょう。過ぎたるは及ばざるがごとしで、元に戻らないのでは意味がないですからね。


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