土の流れを止める
今日も軽井沢H邸の 「斜面の庭造り」のお話。
庭をぐるっと一周するための回廊もあと1/3。

でもこれが一番大変な作業になった。

ステージから枕木の歩道を建家に向かって歩いていくと、
北東の角を曲がって建家に沿って下り階段がある。


この北東部分は家を建てるために切り崩した斜面があらわになっている場所。

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土が崩れてきていて、お客様が非常用につくった土留めが、かろうじて土の流れを止めている。

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この辺りの斜面の土壌というのは、落ち葉が堆積し腐植してできた肥沃な表土の厚みが浅く20〜30cmくらいしかない。その下は厚い(約50〜70cm)軽石の層があり、その下にまた黒い肥沃な山土の層がある。
そう、軽石の層と山土の層が交互に重なった地層なのである。
だから、斜面を写真のように切り崩して崩れ易い軽石の層になんの手当もしないと、チョッとしたきっかけ(最近多い、予想を超える大雨など)で軽石の層がどっと崩れてしまい、斜面全体が崩落してしまう。

本来は、木の根がその崩落を止めてくれているのだけど、この辺りの山の斜面に生える樹木の根は地上部の浅い所で横に広く張って土を掴んでいるだけで、軽石の層が厚い壁となり地中深くに根を張っていない。だから、軽石の層が崩落すれば斜面は樹木と一緒に崩れ落ちる。

基礎工事の際、切り崩した斜面から出た大量の軽石を建家の基礎に沿って盛っただけの崩れ易い斜面にお客さんが丸太で簡易的につくった階段。

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軽石の斜面は雨の度にどんどん土が流れ、階段も崩れてきている。
今や斜面を歩くたびに土が崩れ流れ落ちる。

山の土の流れを止めないと!

これが北東の斜面の一番の課題。


ということで早速作業開始。
まず、かろうじてコブシの根が表土をしっかり掴んでいる所まで、崩れてきている土砂を取除き、斜面を垂直に切り崩します。

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軽石の層が崩れないように慎重に、慎重に作業する。
重機が入れない場所だから、作業は全て人力。大変である。

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ほら、この斜面の地層の様子が良くわかるでしょ。
表土の厚みが本当に薄いんですよ。
こんな土壌で植物達は本当によく頑張っていると思います。

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でも、この軽石の層と黒い山土の層を良く混ぜて使えば、崩れにくい土になるし、なによりも木の根が深く潜っていける土壌になるはずなんです。
だから切り崩した斜面の土は軽石と山土をよく混ぜて、後で盛り土などに使います。

切り崩した部分をさらに1m程掘って、そこに土留め用の枕木を立て、山土と軽石を良くまぜた土を埋め戻します。

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ここで、怪我の功名というか、埋め戻した土に軽石が混ざっていたおかげで、石同志ががっちりと噛み合い、クサビのような効果となって埋め戻した土を締め、枕木をしっかりと固定してくれました。まるでコンクリートを使ったかのようにガッチリと。これは本当にありがたかった。

そんな訳で、枕木を立てる作業は予定通りにどんどん進んでいきます。

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北東の角の土留めを立て終えたら、土留めは斜面を降りていきます。

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階段を登ること、回廊を歩くことが楽しくなるように、
斜面を登る階段にもリズムをつけるため、登り口が広くなるように土留めを緩やかにカーブさせながら立てます。

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全て立て終えたら、切り崩した土、掘り起こした土を使い、軽石と山土をよぉ〜く混ぜ、掘った部分を埋め戻し、階段をつくる部分の斜面に土を盛って仕上げます。

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ほら、斜面を歩く足も少し軽やかになったと思いませんか?



あとは、ここに階段をつくるだけ。
でも、今回の話はここまで。

作業が終わった後、でき上がった土留めの上に、最初に斜面を切り崩した時に避難させた “シロバナエンレイソウ”などを植栽しました。

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エンレイソウも土の流れが止まって、なんだか「ホッ」としているようです。
by eilakuyagarden | 2011-02-16 22:56 | 里山林の庭 | Comments(2)
Commented by veronica-t at 2011-02-16 23:19
作業、お疲れ様です。。
うちの裏山も同じような地層です。
見ていて人事ではないなって、ちょっと恐ろしくなってしまいました。
私の暮らす谷は、今から50年近く前に土石流がおきて尊い命を失っています。
それから20年くらいして谷全体がかたいコンクリの壁で守られ、昔の面影はありません。
広範囲を安全に守るためには、これしかないのでしょうが、昔の緑多き谷の風景が懐かしいです。(苦笑)
先日うちの山に入ったのですが、この冬の雪で傾斜が削られて、根をはることのできない木々が何本も倒れていました。
緩やかになった斜面、ホッとします。。
Commented by eilakuyagarden at 2011-02-17 13:21
veronica-tさま
作業は昨年夏に終わっていて、ブログで綴るつもりが中々更新できなかったので、回顧録といいますか永楽屋ガーデンのお仕事としてしっかりまとめておきたいと思いまして、今更ながら紹介している訳です。

ご自宅の裏には山があるんですね。
山って、肥沃な土地の上に木々が生い茂っているって思っている人も多いのですが、採石場なんかで削られた山を見れば判るんだけど、土の部分は本当にすくなくて基本は硬い岩と厚い粘土層のような物の上に肥沃な土が薄く覆い被さっているだけなんですよね(全てじゃないけど)。その薄い土の層を掴んで留めてくれているのが山の木々や沢山の草達。自然を守るものは自然なんですよね。本当にありがたいことです。自然が守ってきた斜面を切り崩してつくった建物と庭だから、また自然の力で守ってもらえるように戻していきながら、人が庭と触れ合えるようにしていくのがこの庭のコンセプトでもあります。
庭造りを通して、人と自然の優しい関係を取り戻していきたいですねぇ。


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